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出雲路を走る

 自転車を車に積み込んだあと、大きく深呼吸をし帽子をずらして青空を仰いだ。天気は快晴!よし!バタンと運転席に乗り込み、ナビに「シンジコ」と目的地を設定した。GW前に連休がとれたので久しぶりに一泊二日で遠征をすることにしたのだ。前々から気になっていた、島根県松江市の宍道湖から出雲大社までのおおよそ55kmの計画だ。
 スタート地点となる宍道湖北岸の松江市役所までは高速道路を使い、2時間ほどのドライブとなる。山陽自動車道の五日市ICから入り、しばらくすると中国自動車道へとつながる。道中、車窓からは新緑で盛り上がった山々がとても美しい。出発したのが午前9時頃だったので休憩も入れて2時間は超える。トイレ休憩で立ち寄ったサービスエリアには日曜日ということもあって多くの観光客で賑わっていた。ペットボトルの無糖コーヒーを買い、運転席のドリンクホルダーにセットした。昨晩は早く寝たので眠気はなかったけれどカフェインで少し覚醒させた。やがて三次東ジャンクションから松江自動車道へと入る。ここからは対面2車線となり、非力な軽自動車ではチト辛い場面もある。広島県三次市から庄原市と続き、島根県雲南市を経て、山陰自動車道へと入り、湖のほとりの松江玉造ICで高速道路を降りた。陽光を浴びた水面がキラキラと煌めいて美しい湖畔をデポ地へと向かう。湖のそばの遊歩道にたくさんのランナーがマラソンをしていた。中には仮装している人もいて、どうやら今日は市民マラソン大会が開催されているようだった。
 たくさんの車が居たので駐車スペースが空いているか心配だったけれど、ちょうど空いている場所を見つけてエンジンを切った。トランクを開けて、サイクルウェアーを取り出し、周りの視線を若干感じつつ、サッサと着替えた。「あぁーヘルメット忘れた・・・」昨晩は遠足を楽しみに待つ子供のように、あれやこれやと準備していたのに・・・「やってもた・・・・」「まぁーいつもよりも安全に注意していくか・・・・」とサイクルキャップだけ被ってスタートしたのだった。

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 まずは宍道湖の北岸をゆっくりと走り出した。先ほども触れたマラソンランナーに注意しながら春風を浴びる。今回のコースはもちろん初めてで下見もしていないので基本的には歩道を走ることに決めていた。
 ふと右手を見ると大砲レンズに三脚の鉄氏がカメラを構えていた。この宍道湖北岸は湖に沿って一畑電車北松江線が走っている。「よーし!ここは私も鉄分補給だ!」とばかりザックからミラーレスを取り出してシャッターチャンスを待った。向こうからピンク色した一両編成の電車がやってきた。

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 幸先の良い写真を収めて気分もあがりまた漕ぎだした。ちょっと早いけれどコンビニエンスストアに立ち寄って、トイレ休憩とボトルに水分を補充した。道はほとんど歩道があり安全に進むことが出来る。左手に湖を見て右手には所々に一畑電車の小さくかわいらしい駅舎が私を笑顔にしてくれた。
 松江フォーゲルパークという公園のそばに来た。90種以上の世界中の鳥たちとふれあえるテーマパークだそうだ。「鳥の好きな人だけでなくて家族連れにもよさそうな公園だな」 今日のサイクリングでは立ち寄らず先へと向かった。
 一畑薬師は目のお薬師様として全国的な信仰の広がりをもつ臨済宗の古刹で1100年の歴史がある薬師信仰の総本山だ。そのお薬師さんの入り口にあるコンビニエンスストアで昼休みをすることにした。「なにかおむすびでもないかな?」と陳列棚を眺めてみるとほとんどおむすびは残っていなかった。「まぁーこののり弁当にするか・・・」と特茶と合わせて贖い、自転車のそばの日陰で腰を下ろして一息ついた。弁当を一口二口、口をつけて、ふと後ろを見ると、サイクルジャージを着た50代くらいの男性が居た。いつからそこに居たのかまったく気がつかなかった。すると、「今日はいい天気ですね!」と話しかけてきた。「そうですね!」と答えると「どちらから来られたのですか?」「広島から車載して、宍道湖を走ってきました。美しい湖で感動しました。」「そうですか!私は島根県出雲の出身で、これから自宅のある出雲市まで帰ろうと思っています。」彼の自転車に目をやると、綺麗なチェレストカラーのビアンキのロードバイクだった。自転車が好きなんだなって一目でわかる。ボッーと眺めていると・・・「これからどちらまで走るんですか?」と聞かれ「出雲大社まで走ろうと思っています。」と答えると「私も方向が同じなので、良かったらご一緒しませんか?」いつもは引っ込み思案の私なのだけど、勇気を出して「ヨロシクお願いします」と一緒に走ることにした。
 彼は私よりも背が高く、その分体重も多そうだった。でも太っているのではなくて、レーサーパンツの下にのびるヒラメ筋は発達していて、脚力のありそうな言えばヒルクライム型ではなくてスプリンター型だと思った。(ついていけるかな~)と少し不安になった。
 
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 道はやがて広大な田畑の間を真っ直ぐにのびた。遠くに赤色をしたトラクターが眠っているように止まっていた。「ペース速くないですか?」と彼は言った。「大丈夫です。ついていけますよ~」 明らかに私に合わせてくれていた。本当は自転車は走行時、並走してはいけないのだけど、道は自転車だけが通る専用道であることもあり、並んで走ることもあった。そんな時、「広島だと、どんな所を走るんですか?」と質問された。「江田島という島とか、近所の峠とかを走るんですよ~」「しまなみとか行ったことありますか?」「ハイ!3度ほど走ったことがあります。」「いいですね!私は走ったことがなくて一度行ってみたいといつも思っていますよ~。ところでお名前は、なんと呼んだらいいですか?」 本名を言っても良かったけれど、ブログのハンドルネームを答えることにした。「オトシンです・・・」 一瞬、戸惑った表情をした彼だったけれど、すぐに「そうですか!ニックネームですね!」「じゃー私はクニさんとでも呼んでください。」
 そんな他愛もないことを話し終えるとまた、クニさんに引かれて出雲市を流れる大河、斐伊川を遡った。この辺りから向かい風が非常に強くなって、なかなか平均速度が上がらなかった。スプリンタータイプのクニさんも少しキツそうで、こちらから「今度は私が引くよ・・・」と前に出た。「ありがとう!」自転車は先頭を走るのと二番手を走るのでは風の影響の関係で疲労度が明らかに違う。斐伊川の両岸は広い田畑が広がっていて(なんて出雲平野って広いんだ!)って思った。河川敷のグランドでは草野球をしていたり、特設のラジコンカーのサーキット場があったりして、とてものどかな日曜日だった。すると・・・・後ろで「あっ!」と声が響いた。どうしたのかと振り返ってみると、クニさんのビアンキの前輪がパンクしていた。「あ~パンクだ・・・涙」 ところがクニさん、替えチューブを持っていなかったらしく、私がたまたま持っていたので、それを使って修理をした。クニさんの手際はとてもよくて、ほぼ15分ほどで終わった。「ごめんね・・・チューブありがとう。」「手際いいね~」って感心すると、「よくパンクするんだよね~。今日は不覚にもチューブ忘れたけど・・・笑」
 サイクリングロードがやがて斐伊川から逸れて出雲市街地へと入る交差点で立ち止まってグーグルマップを確認した。「こっちであっているのかな~?」と不安になると、「大丈夫。あっているよ・・・ここから高瀬川って言う小さな川に沿って出雲大社までいくんだよ。」と教えてくれた。この高瀬川、小さな川なんだけど、とても綺麗に整備されていて、以前訪れた倉敷を思わせる美しい道だ。途中のコンビニエンスストアでアイスクリームを食べながら検索すると・・・出雲市街地の中央を街並みに沿って流れ、出雲市大津町の來原岩樋から、旧大社町荒木地区に至る約12kmの農業用水路とヒットした。(うーん、なるほど・・・)「出雲平野ってとても広いね」とクニさんに話しかける。「山陰では最大級の沖積平野で、東西約20km。南北8kmの広がりを持つんだよ。冬はね、日本海から強い北西季節風が吹きつけて、水田景観に屋敷林や防風林があったでしょ」「うん!そういえば気になってた。」(広島じゃ見ない景色じゃな~)
 やがて高瀬川が国道431号線と交わる辺りで、クニさんが「ここを曲がろう。出雲大社までもう少しだよ~」
 案内板も大社への参道へと誘い、石造りのとんでもない大きさの鳥居が見えてきた。そこでクニさんに待ってもらって、写真を一枚撮った。神社へと続く参道にはたくさんの飲食店や土産物屋が並んでいる。「おっ!クニさん!元気!?」と声がかかった。「儲かっているか~?」とクニさんも答えていた。(クニさんって有名人なのか?)と思っているとまた・・・「今日はどこまで走ったん?」「ちょっと宍道湖までね!」 そして参道の正面、ついに出雲大社に到着した。向かい風に苦労したり、パンクもあったりしたけれど、その分達成感で一杯だ。自転車を正面に遠慮気味に止めてシャッターを一枚切った。

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 そこからは徒歩で拝殿に向かうのだけど、自転車を止める場所が遠かったので、クニさんに「僕、ここでお参りさせてもらうよ」と伝えた。「じゃー俺も」とクニさん。二礼二拍手一礼をした。目を瞑って、縁結びの神様でもあるので、こんな歳まで独り身の自分を自虐しながら、良縁を願った。ふと、隣で参っているクニさんを見ると、雲がなくなるように消えていた。辺りをキョロキョロして探してももうどこにも居なかった。(どこに行ったんだろう?)と思っていると耳の奥で「とても・・・楽しかったぞ! よくぞ参ってくださった」と聞こえたのだった・・・・・  完。


 今回の記事は一部、フィクションであります。。。

Dst・・・52.00   Av・・・17.0   TREK FX3






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毘沙門天様

 記事を書き出せばなんとかなるのだけど今日は厳しい感じ・・・まぁーいってみるか。 数日前から今日の休日は久しぶりにエモンダを出して江田島へとも思っていた。だけど昨日寝つく前に明日は緑井地区にある権現山の毘沙門天様に会いに行こうと結局の街ポタに予定変更した。 最近、いつもの平和公園での缶コーヒータイムを止めて、公園近くの商店街にあるタリーズで本日のコーヒーのショートサイズを飲むことが多い。コンビニコーヒーが幅をきかせてきているとは言え、やっぱり専門店のコーヒーはとても美味しい。愛車をガラス越しに見ながら、まったりする。ザックには読みかけの東野圭吾のミステリーが入っている。今日は目的地は決まっているので文庫地図を眺めながらの思案はなし。なにげなく通りを見ると外国人や老若男女、様々な人相の人が通り過ぎて行く。人相と言ったのは普段色々なお客さんを相手にする仕事に携わっているから気になってしまうのだ。本来人は外見ではなくて内面で決まるとは綺麗ごとのような気もする。やっぱり見た目の清潔感は非常に大事だろうな~なんて思う今日この頃だ。異性にモテルとかモテナイとかの話ではなくて歳をとると余計に外見に気をつけないとな~なんて思う。
 コーヒーを飲み終えてまた漕ぎだす。 市内のサクラはほぼ葉桜になっているがまだ残っているものもあるようだ。元安川の川土手の遊歩道を平均時速15キロほどで流す。ジャージ姿でランニングをする人、犬のリードを握りポツポツと散歩をする人、土手へと上る階段の手すりで筋トレをしている老人、様々な人々が4月の中旬の晴天を過ごしている。 
 やがて道は緑井(みどりい)地区に入る。 そして幹線道路の傍に毘沙門天参道の石柱が立っている所から登り始めた。以前来た事があるので道に迷うことはなかった。 今日の自転車は重量のあるDS。 斜度がキツクなった所で早々に押し歩きになった。それでも息を切らせながら登っている。時より振り返ると広島市内が一望出来た。 大きな石造りの鳥居を潜ると朱色の山門が現れる。一礼してから鬱蒼とした社叢の参道を押し歩く。 本殿へと続く階段の手前に自転車をロックして参拝させて頂いた。本殿の傍の脇道から多宝塔へと続く山道を徒歩で登って行った。途中で自分と同じ年くらいの男性とすれ違う。
 そして展望が広がった・・・

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 4月の末から始まる連休を前にどことなくウキウキとした雰囲気の街だったな~。(私は通常通りの勤務だけど・・)

Dst・・・43.94km  Av・・・14.8km/h  TREK8・5DS


港湾地区へ

 お気に入りのポークカレーの辛口をナンで食べて食べ終わる頃、店の前をけたたましいサイレンを鳴らしながらパトカーが走っていった。最初は「また・・・どこかで事故かな」くらいに思っていたけれど続けて消防車、救急車と続いた時は、「何事!?」と驚いた。店内に居たインド人も表に出て様子を窺っている。表ではあちこちで建物から人が出て、同じように「何事!?」とアンテナを立てていた。スマホを取り出してリアルタイム検索してみたけれどヒットはなかった。でも野次馬根性を出して現場を見に行く気にもならずDSに跨り今日の目的地を目指したのだった。 「なんだったんだろう?」
 少し時間を巻き戻す。インド料理店のタージさんに行く前に行きつけの自転車店に立ち寄った。ただ喋りに行っただけではなくて何かを贖いに行ったのだ。数日前にふと思った事があって、それはポタリングの最中に飲食店に入るとヘルメットを脱ぐわけなんだけど、髪型があまりにみすぼらしくなってしまうのだ。歳をとり髪の量も少なくなり、もはやオジサンという4文字からは逃れられそうにない。それで・・・ サイクルキャップをというわけ。ヘルメットの下に被り、それをとって店に入った時もキャップだけは残しておくことにしたのだ。自転車店の陳列をしげしげと眺めていると色々なキャップが揃っている。派手な蛍光色なもの、シンプルなもの、通気性の良いもの。「どれがいいかな?」なんて思っているとスタッフFさんが「キャップですか?」とアテンドしてくれた。 「通気性が抜群なのはこの商品ですが、サイクリング中に店に入ることを考えるとこういったデザインのもののほうが良いかもしれません。」「そうじゃね~」 私は昔から優柔不断なほうではなくて、比較的物事はサクッと決めてしまう。だけどここ数年少しだけそちらに傾いている。「まぁーこれから暑い季節も来るだろうから、この通気性の良いものにしますわ」 って。 レジを済ませて、少しだけスタッフFさんと、最近はどこへ走りに行ったとか話をして店を出た。
 インド料理店を出て進路を南へととった。 広島港にほど近い場所に出島という地区がある。読みは「デジマ」。この地区へ行ったことがなかった。出島と言えばまず長崎のそれが浮かぶだろう。実は広島にもあるわけだ。ここは住宅街や商業地区ではなくて倉庫会社や運送会社、港湾関係の会社が並ぶ、用事のない人はこない地区なのだ。一部、港湾関係者以外は立ち入り禁止の場所もあるけれど、かなり広島湾寄りまで進むことが出来た。立ち並ぶ倉庫の傍には大型車や業務車が駐車されていて、河口には何かを積み込む中型船が停泊していた。クレーンもいたるところにあり、積み荷の積み下ろしの場面があるのだろう。そのつどに自転車を止めてザックからカメラを取り出して撮影した。すると目の前を雀でも鳩でもセキレイでもない鳥が横切っていた。珍しい鳥を見かけるとそれだけで少し気分が上がる。頭がのどかになっていると脇の道からコンテナを積んだトレーラーが鈍重に曲がって来た。「おっと・・・」と安全第一。 
 大きなくくりで広島というと、原爆ドーム、厳島神社、広島城などとまず観光地が思い浮かぶ。それも観光地という顔ではあるが、実は色々な地区ごとに特色があるわけ・・・今日訪れた、出島地区も実に特色があって面白いポタリングだったな~。

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Dst・・・41.40km  Av・・・14.6km/h  TREK8・5DS



司馬史観と桜

 司馬遼太郎は戦中を生きた人だった。 とてつもない知識量の氷山の一角として現れた輝く部分を読ませて頂く。本当にこの方は知の巨匠だと思う。ただ知識量が豊富というだけではなく、その想像力にも感嘆の吐息が漏れる思いだ。以前も同氏の作品は読んだことがあるが、今回はその時よりもより読み込めた気がする。私自身の読書脳が成長したのかと錯覚しそうではあるが、そういうことが言えるとも思う。今月一冊目の本。「この国のかたち・一」 司馬遼太郎・著 文春文庫を読み終えた。今日の日本人の思想や風土が連綿と流れる歴史という大河の中でどのように変遷してきたかということを、一点のテーマごとに述べておられる。それぞれのテーマや着眼点が非常に興味深く、そういう視点もあるのかと感動すら覚える。冒頭に記したように司馬氏は第二次世界大戦を軍人として経験されている。その背骨があるので、戦後の日本の明るい空気を実感として記されている。戦後70年が経過した現在の日本に戦争経験者が失われていく空気というものを淡く感じつつ、同氏の本を読むとどこか背筋が伸びる気もする。
 昨年のNHK大河ドラマで取り上げられた西郷隆盛についてのことは、その放送後からそれほど経っていないせいもあり、幕末の薩摩においての郷中という組織とその中で頭となった西郷のことについて述べている篇は想像しやすかった。 また同氏はそういった歴史的に偉人と呼ばれる人のみではなく、とても着想しない人物の魅力についても紹介されている。あの時代にそういう人物が居たのかと知ることが出来た。
 話は変わるが、私の仕事の休憩時間に一編読み切るのに実に丁度良いサイズで、続けて第二巻へと行ってみようと思っている。

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 ここからは今日の話。 天気予報では午後から雨がパラツクと三日前くらいからアナウンスしていたので、今日は午前中だけでも桜の定点ポイントで撮影しようと、自転車もFX3にし、スタートした。 結論から言うと18時現在まで一粒の雨も降っていない。まぁー天気予報も外れることもあるよねとおおらかに自分に言い聞かせては見るが・・・。 街中の桜は今が盛りと春の陽気の中、人々の気分を上げている。芝の彼方此方にブルーシートが敷かれ、どこからともなく野外飯の匂いが漂ってくる。個人的に日曜日の休みは珍しいだけに今日の空気感を存分に味わう事が出来て、得も言えない幸福を感じる。 前回の記事でそのタイミングを逸したかと思われた川岸の桜を今日、撮影することが出来た。

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 ここの桜・・・どうやらまだ満開じゃないよね。 ハイ! 本年の桜活動、終了!

Dst・・・26.17Km  Av・・・14.0   TREK FX3

  







桜ハント

 赤小鶴という薩摩焼酎を天然氷を入れたグラスに七分半ほど注ぎ、ミネラルウォーターで水割りにする。一日仕事であった嫌なことや我慢したこと、嬉しかったことをいっしょくたにしてグビッと流し込んだ。肴は小瓶に入ったイカの塩辛。かなり塩分過多なツマミだけど焼酎には合う。つけっぱなしたテレビからは新元号について何度も繰り返している。おかげで頭の中はその三文字がグルグルと回転し続けている・・・
 数日前から明日の休日は染井さんを眺めに行こうと計画していた。彼女はあっという間に咲き誇り、そしてあっという間に去っていく。だからその瞬間を逃したくなかった。 2019年4月2日、月曜日。晴天なり。 いつものように愛車に跨り、のんびりとポタリングをスタートした。もう使わないと思っていた冬用のウェアーを身に纏う。前日ぐらいから気温が低いからだ。適当な選択で良かったと思う。平和公園の桜は六分から七分咲きといった感じ。 それでも木の下にはブルーシートが敷かれて宴の様だ。
 私はここ数年、決まった場所で桜を眺めることに決めている。それは猿猴橋(えんこうばし)という橋の近くだ。今年もそこで三脚を立てようと思いながら自転車を走らせた。横断歩道の向こうがその場所という地点で信号待ちをしながら眺めると、まだ三分咲きくらいだった。「あー少し早かったか・・・」と残念な気持ちがこみあげつつもそこへと辿り着いたのだ。自転車を止めて蕾を見る。あと二三日でポンッといきそうである。私の次の休日が五日後くらいであるから、ここの桜の満開には合わないかもしれない。
 気を取り直して市内中心部をまさにブラブラと彷徨うことにした。こういう彷徨いが実のところポタリングという。ガチで走ることはポタリングではなくてサイクリングと呼びたい。「あっ・・・ここはほぼ満開だな」などと呟きつつペダルを回した。
 やがて私のトレックは廿日市(はつかいち)市にある住吉堤防敷へと着いた。ここも桜の名所で、来週の日曜日には恒例の「桜まつり」が開催されるようだ。

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 自転車を押しながら桜のトンネルをゆっくりと歩いた。「日本人で良かったな・・・」と思う。昨今の為政者は声高に愛国を訴えるけれど、そんなこと上から言われなくても自然と湧いてくるのである。 権力者の言うところのナショナリズムは危うさが伴い、容認出来ない。ちっぽけな小市民がそんな事を呟いてみたところで大きな流れに飲み込まれるのはいつの時代も一緒か・・・

 頬を僅かに染めた彼女と出会った後は、同じ廿日市市にある寺院、洞雲寺へと向かう。この寺は、厳島神社の神主であった藤原教親の開基により、金岡用兼(きんこうようけん)が1487年(長享元年)に創建したもので、金岡の師である為宗仲心を開山とする。その後は、大内氏・陶氏・毛利氏の保護を受け、陶晴賢は毛利氏によって自害に追い込まれているが、毛利氏によってこの寺に葬られている。そのほか、友田興藤、桂元澄、毛利元清(穂井田元清)などの墓がある。

 寺院の前の公園のベンチで、上がってきた気温を感じつつ、途中で買った(山賊むすび)を頬張る。この時期は野外での食事が2割増しで美味しいと思う。
 来た道と違う道を選択して今日のライドを終えたのだった。

Dst・・・39.83km   Av・・・14.6   TREK8・5DS




 3月の振り返りもしておこう!   

 月間走行距離は216.73km。 山口県岩国市の錦帯橋へのロングライドが一回、あとは近場でポタリングといった感じでした。気候的にも良い季節で、走っていても気持ちが良いですね。
 次に読書。 西村賢太・著「人もいない春」の一冊に終わりました。昨年と違って、のんびりと読んでいるので、読みたい時に読むというスタイルで楽しいかな。でも読書量が落ちると文章力も落ちそうですが・・・
 写真散歩は先日撮影した、「普門寺のしだれ桜」。 撮影後のRAW現像で少し脚色し過ぎたかなとも思いますが、まぁー雰囲気は出たかなと・・・
 4月も自転車に写真に本にボチボチといきます。3月もお付き合い頂きありがとうございました。