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駅舎

 一日を終え溶け切った氷をもう一度凍らせる。次の日また朝から溶けはじめる。その繰り返しをもうひと月も過ごしている。おおよそあとひと月も同じような日が続くと思うとうんざりもする。しかし不思議と昨年よりも夏バテを感じてはいない。
 今日は久しぶりにロングライドをしようと決めていた。朝9時26分、回し始める。 蝉たちがトゥッティでフォルテシモだ。進路はイザ西へ! 国道2号線、通称「宮島街道」は地御前地区を過ぎると左手に海が見え始める。海の先には厳島の大鳥居が小さく見える。毎年8月に宮島水中花火大会が開催されるのだけど本年は災害の影響もありそうそうに中止となった。観光客もまばらだ。その宮島のフェリー乗り場の先で一回目の休憩を入れた。「今日は目的地まで走り切れるだろうか?」と不安になるほど顔にあたる風は熱がある。私がロングライドをするとき、決まって心で呟くセリフがある。「のんびり回してればいつかは辿り着くさ!」である。先を急げば急ぐほど道のりは遠く感じる。
 交通量の多い、また大型車の多い道のキープレフトを慎重に走ると広島県大竹市へと入る。ショッピングモールの入り口の自動販売機で紅茶のペットボトルを贖いベンチに座って一息入れた。するともう日焼けのしようがないほど黒くなった一人のご老人が話しかけてきた。「わしも自転車やるんよ」 「あんたが乗っとるのよりもタイヤの太いマウンテンよ」 「ほうですか・・・」「あんた、今日はどこまで行くん?」 「岩国まで行こう思うとります。」 「ほうね」 「暑いけー水分補給しながら行きんさいよ」 「ありがとう」
 そんな感じで二度目の休憩後は広島県と山口県の県境となっている栄橋(さかえばし)を渡り目的地へと一直線だ。

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昭和4年に開業したこの駅舎は岩国の観光名所「錦帯橋」の最寄駅で多くの人が利用した歴史がある。今は東側にある「岩国駅」が街の表玄関となっているのでこの駅舎はひっそりとしている。しかしご覧の通り洋風建築のとても趣のある駅舎は独特の存在感を残している。 駅舎の中のベンチで近所のご老人が真横になって休んでいる。 海側から吹く生暖かい風が吊るしている風鈴を鳴らしていた・・・

 周防(すは)なる磐国山(いはくにやま)を越えむ日は手向(たむけ)よくせよ荒(あら)しその道 (万葉集)

 <訳> 周防の磐国山を越える日には神によく手向けをされますように。荒々しいその道ですので。

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