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やっと読み終えました。。。

 多摩音楽大学は都心から私鉄で1時間半ほどの広々とした平野にある。もはやここは大東京ではないのではないだろうかというほどのんびりとした雰囲気の中だ。ノズルの住んでいるアパートはその大学から徒歩で5分ほどの家賃4万2千円の1Kで実家からの仕送りとチャンポン店での短時間のアルバイトで生活していた。学校から近いので学生のたまり場になりそうなものだけれど、ノズルの社交性のなさから立ち寄る人もそれほど多くはなかった。そのノズルの住処が俄かに騒々しくなったのはイチョウの葉も色づく学園祭、音楽大学では芸術祭が開催される秋の事だった。4年生に在校していた広島出身の米満さんの影響で祭りに出店する飲食屋台でお好み焼きとイモフライを提供することになったのだ。入学時にはサプライズ的に怖かったのかと思っていた先輩の存在は厳しい上下関係のもとにあって、その鶴の一声で学校に近いノズルのアパートで試食会が行われることになった。
 授業と練習が終わった夜の初めの頃、研究室の面々がノズルのアパートに集まってきた。1Kの部屋に16人ほどが入ったものだから、ただでさえ狭い部屋はむせかえっている。もちろん会の初めは乾杯からスタートして、そのうち1年生がお好み焼きの具材のキャベツを切りそろえた。そして小さなホットプレートで米満さんの指導のもと一人一人焼きの練習をする。「お好み焼きってのはな、貧乏人の食い物だから、そんなに肉を入れたらダメなんじゃ。客に気がつかれない程度に絞らんといけん・・・」と米満が説教をした。「ハイっ!わかりました。」なんて言っていたが、(なんだかケチ臭いな)なんてノズルは思った。この米満さん、ジャズ畑を歩く人で、なかなかに破天荒な性格で、面白い逸話が一つ二つあった。そのうち一つが「平和記念式典タリラリラ事件」だ。広島で毎年8月6日の原爆の日に開催される記念式典で演奏の為に集められた市内近郊の吹奏楽部の一人だった米満は、本来静かな雰囲気の時間にウォーミングアップのリップトリルを響かせてしまったという、なんとも破天荒な高校生だ。
 そうして一つ二つとお好み焼きを焼いていると、「ノズル!イモ洗うとこがないからココで洗うぞ!」と2年生の玉井さんが言っている。(ココって?風呂の浴槽だぞ・・・)と内心ノズルは思ったが逆らえるものでもなく、「ハイっ・・・」と口ごもった。そんな騒々しくも夜が更けていき、酒も入っているものだから、かなりの大声で皆しゃべ散らかしていた。すると近所の家から「てめぇーら何時だと思ってんだ!!!」と怒号が暗がりのサッシから突き刺してきて、皆一応に反省し、ボリュームを落としたのだった。
 その試食会が功を奏したかどうかはわからないが、芸術祭のトロンボーン研究室の屋台はかなりの勢いで繁盛したのだった。
・・・つづく。

 昨日の天気予報では雨は降らないと言っていたから今日はしっかりと自転車に乗る準備をしてました。が・・・起きてみると雨。雨雲レーダーを見ても、しばらくは断続的に降るみたいで、「あーあ今日は乗れないな」と早々に諦めました。
 先月から少しづつ読み進めていた本を読み終えることが出来ました。「辻」 古井由吉・著 新潮文庫です。「いや~難解・・・難解・・・」 ほとんど意味がわかりません。田中慎弥さんの「犬と鴉」に匹敵するほどです。
 一つ思ったのは老いていく人間の心の推移が時空を超えて表現されていくということかな。わずかにストーリーがわかったのは最後の短篇の「始まり」という話だけでした。著者の古井さんはドイツ文学者であり外国の詩文の研究の専門家なので、日本語で書かれている小説ではありますが、どこか外国文学を匂わせる筆致なのかな・・・って知ったげですね。私。
 「イヤ~苦労しました・・・この本。」 今月1冊目でした。
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コメント

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オトシンさん、おはようございます。

前回の投稿で、投稿で毎回書かれてる
冒頭の1章、創作小説
というのはわかりましたが、
これは、1回、読み切りという理解で
いいんですかね?
いや、そもそも前のつながりあるのか
思い出すのはむ~り~なんですが。

Re: わかりにくくてすみません

> オトシンさん、おはようございます。
>
> 前回の投稿で、投稿で毎回書かれてる
> 冒頭の1章、創作小説
> というのはわかりましたが、
> これは、1回、読み切りという理解で
> いいんですかね?
> いや、そもそも前のつながりあるのか
> 思い出すのはむ~り~なんですが。

三島の苔丸さん、おはようございます。
そうなんです。今は一話読み切りです。が・・・
登場人物の説明もあるので、すべて書き終わったら一つの記事にまとめようと思ってます。
2020年・2月13日の記事が一話目です。なんともお恥かしい・・・
コメントありがとうございました。
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