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わたしが・棄てた・女

 私が大学の一年生の頃、よく遊びに誘ってくれた三年生の先輩が、「音楽座という劇団の公演を観に行かないか・・」と声をかけてくれた事がある。私はそれまで高校の演劇部の劇しか観たことがなくって、「行ってみたいです。」と喜んで返事をした。随分昔の話だが、その公演の演目が「泣かないで」という遠藤周作・原作のものだった。一部ハンセン病をテーマにした劇で、考えさせられるという部分もあったが、なにより音楽劇というものにおおいに感動したことを今でも憶えている。

 今月4冊目の本を読み終えた。本棚からの再読で、「わたしが・棄てた・女」遠藤周作・著 講談社文庫。先に劇団の公演でこの作品を知って、広島に帰ってから書店でこの本と出会った。時代背景は恐らく日本が高度経済成長期に入ろうかという頃の話だと思う。大学生だった吉岡はあることがきっかけで森田ミツという女性と知り合い、一夜を共にする。不純な動機だった彼と純粋に彼を想ったミツ。吉岡のほうはその一夜でもう充分で二度と彼女を会おうとしなかった・・・ そしてミツはある日、自分がハンセン病という病気に罹患していることを告げられ、絶望のどん底へと落とされる・・・・
 もちろんストーリーはこの後、大きく動くのだけどそのことはここには書かないでおこうと思う。 二度目の読書で、もう読みながら音楽劇のことを思い出して、涙腺が緩んだ。

 音楽座という劇団は今も活動していて、「泣かないで」はもう公演していないかも知れないが、もう一度観てみたいと思う。観劇とか芸術とかはたった一度の出会いで一生の想い出になるなと・・・今コロナでその業界も大変だと思う。でも決して消えてはならない灯だと思う。
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